2008年10月16日木曜日

膠について その1

ホームページにも書いてあるように、はなもっこの時計のこないろシリーズには岩絵具という伝統的な日本画材を使用しています。岩絵具の話もいっぱいしたいことがあるのですが、その前に今回はその岩絵具を定着させるための接着剤の役割をする膠(にかわ)についてお話しします。
そもそも絵具というものは基本的に、色の元となる色の粉とそれを定着させる接着剤とがまぜられて画面にくっついています。
その接着剤が油であったら油絵具ですし、アクリル樹脂ではアクリル絵具、アラビアゴムでしたら水彩絵具といった具合です。画材屋さんで売られているチューブ入りの絵具はその色の粉と、接着剤を混ぜた状態で売っています。ですから描くときにいちいち接着剤を混ぜる必要はないわけです。

でも、日本画の絵具は接着剤が混ざっていませんので岩絵具を水で溶いて画面に塗ってもすぐに落ちてしまいます。そこで膠という接着剤を混ぜて使用します。エジプトの壁画にも使用されているぐらい昔からあるもので、日本でも飛鳥時代にはその作り方、使い方が大陸から伝えられて使用されるようになりました。
原料は牛や鹿、兎といった動物の骨や皮で、それを煮つめて作ります。煮物の汁を冷ますと『にこごり』が出来ますが、簡単に言えばあのにこごりの調味料の入っていないものが膠です。 北欧やロシアでは魚を原料することもあります。ムーミンのアニメの中に膠でいすを修理するシーンがありましたが、あれはチョウザメの膠かな?? ボンドが発明される前まではとてもポピュラーな接着剤で、今でも高級な家具やバイオリンなどの楽器を作る際に使われているそうです。

まだまだいろいろお話ししたいことがあるのですが、続きはまたこんど。 



上が三千本膠。下が板膠。どちらも原料は牛です。